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Led Zeppelin/I Left My Heart In Montreux/1970年3月7日モントルー公演 


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1970年屈指の名演


1970年3月7日のスイス、モントルー・カジノでのライブと言えば、Live On Blueberry Hill(1970年9月4日)、Listen To This, Eddie!(1977年6月21日)など、アナログ時代から名前が知られているブートではないですが、それはそれ、ただのタイトル。CD時代からライブの全貌が徐々に明らかになり、今やその演奏はZep史上の中でも最高峰の一つと言われるほど高評価。

まるでアンプの目の前に立っているかのような迫力のオーディエンス録音と、音質は残念ながら劣るものの、コンサートの完全収録には欠かせないサウンドボード録音が2種類存在することでコンサートのほぼ全編を堪能できるのに加え、演奏内容も一級品。
数ヶ月間という短い期間しか演奏されなかったWe're Gonna Groove、かっちょいいイントロ付きのHeartbreaker、ぶっ飛んだテンションのHow Many More Timesなど、聴きどころ満載のライブとなっています。


2000年代以降にリリースされたブートの中ではEmpress Valleyレーベルの"Intimidator"(サウンドボード&オーディエンス)や、Atlantic Ocean Recordsの"Divinity"(オーディエンスのみ)が代表的音源ですが、現在の決定盤は数年前にリリースされたこちらのWendy盤、"I Left My Heart In Montreux"ではないかと。
その理由は何と言っても、決定盤と言われたEmpress Valley(以下EV)盤"Intimidator"では途中でテープが終わってしまっていた、Whole Lotta Loveが最後まで収録されているから!

EV盤が発売されてから約10年後、ネット上に突如Whole Lotta Loveの後半部分を収録した音源が登場し、そちらを使用したWendy盤がリリースされましたが、EVは未だに"Intimidator"を再発売し続けている模様。Wendyは一部では昔のリリースに関して、編集やイコライジングについて酷評されているレーベルですが、最近の同レーベルと系列レーベルの作品は最新の音源を利用し、音も過剰なイコライジングに走ることもなく優良なブートをリリースしている印象を受けます。




【ブート・音源】

Led Zeppelin Database、Collector's Music Reviews、Underground Uprising、BootLedZから得た情報によると、アナログ時代からオーディエンス録音は一部リリースされていたものの、テープの全長版に近いものが広まったのは90年代以降、CD時代になってから。

TDOLZ盤"All That Jazz"、Tarantura盤"The Dark Tower"、Luna盤"We're Gonna Groove"(そしてほぼ同内容のLive Storm盤、Scorpio盤)など、いずれも音質的には2000年以降のタイトルには及びません。ただし、Luna、Live Storm、Scorpioの3タイトルに収録されているHow Many More TimesはEVやWendyのタイトルで使われているオーディエンス録音より約40秒ほど長く収録されているという謎の現象が存在します。明らかにジェネレーションは高く、ヒスノイズとかも大きいのに、なぜ?マスターテープはどこか別に存在するのでしょうか?

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Luna盤"We're Gonna Groove"。オーディエンス録音でHow Many More Timesを最長収録。

2000年以降、サウンドボード音源が複数タイトルにまたがって徐々に姿を表していき、それをオーディエンス録音と繋げて当時のベストバージョンを作り上げたのがEmpress ValleyとTarantura2000(タイトルは"Charisma")です。どちらもイコライジングがかけられていますが、Tarantura2000盤の方が音の加工は強く、EV盤はサウンドボード音源のみを別ディスクに単体収録する(3CD版のみ)取り組みを見せているので、EV盤が決定盤として扱われていました。
一方、オーディエンス録音単体の収録ではAtlantic Ocean Recordsの"Divinity"が優秀で、イコライジング感を全く感じさせない、自然な仕上がりの音質で人気があります。ただ、We're Gonna Grooveの間奏でのテープの伸び(全タイトル共通)はカットされており、2~3秒の演奏が失われています。ぱっと聞く分には気づかないかもしれないほどの見事な編集ですが、この部分はサウンドボードで補ってやらないといけない部分なのでEVやWendyが演奏に忠実ということになります。
上記に上げた2000年以降のタイトルはいずれもWhole Lotta Loveのサウンドボード音源が途中で切れてしまっています。

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Tarantura2000盤"Charisma"。

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2000年代初頭に発売されたEmpress Valleyの"Intimdator"。初回は3枚目にサウンドボード音源を単体収録した3枚組。ロングケース仕様。やはりデザインのセンスは良い。

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2005年に再発された2CD版。デジパック仕様。個人的には初回版のデザインよりもこちらの方が好き。


今回ご紹介するWendyレーベル、"I Left My Heart In Montreux"はプラケースの2枚組。オーディエンス+サウンドボードのミックスです。
ブートのタイトル、"I Left My Heart In Montreux"はトニー・ベネットの代表曲"I Left My Heart In San Francisco"(邦題:霧のサンフランシスコ)のパロディ。70年~72年の間、毎年演奏しに来たメンバーのモントルーへの愛着から来ているのでしょう。

最新設備のスタジオが利用でき、湖のほとりに佇む静寂な町モントルーは絶好の避暑地として多くのミュージシャンや著名人がお気に入りの地。ツェッペリンのメンバーも虜にし、後にバンドは仕事、プライベートを問わず幾度となく訪れることになります。最後のスタジオアルバム「コーダ」に収録されているBonzo's Montreuxはここモントルーのスタジオでレコーディングされたもの。

Wendy盤はWhole Lotta Loveの最長収録に加え、We're Gonna Grooveの間奏でのボード音源のパッチの仕方など、オーディエンス録音からサウンドボード音源への移行する際の編集はEVより丁寧な印象を受けます。オーディエンス録音部分の音質も、EVよりイコライジングが軽く感じます。ただしHow Many More Times終了後、プラントが「ボンソワール!」と挨拶する部分は何故かカットされ、そのままWhole Lotta Loveに繋げています。

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Wendy盤裏面。


この日の音源は以下の3種類。
それぞれの音源は音質が全く異なるので聴き分けるのは容易です。

1.オーディエンス録音
2.サウンドボード録音①(AMラジオ)
3.サウンドボード録音②


クリス・ウェルチ著、『ピーター・グラント 5人目のレッド・ツェッペリン』によるとツェッペリンはスイスのプロモーター、クロード・ノブスと親交が厚く、ノブスはバンドの録音や撮影に対して殊更慎重だったマネージャー、ピーター・グラントからライブの録音と放送の権利を盛り込んだ契約を取りつけています。このため、この日の公演にはサウンドボード音源が存在するのですが、流出しているのはコンサートの一部のみ、しかも同日のオーディエンス録音の方が圧倒的に音が良いのです。ノブスが録音したテープの音質がこの程度だとしたら、間違いなくバンドとピーター・グラントは放送はおろか、録音の許可も出さなかったでしょう。

余談ですが、ノブスとバンドの良好な関係を更に裏付ける事として、翌71年にバンドがモントルーでライブを行った際、入場出来なかったファンに対して、なんとPAシステムを会場外のスピーカーに繋いで外でもライブの模様を楽しめるよう、グラントが指示を出すという事件があります。こちらも会場外に流れる音を録音したと言われるオーディエンス録音が有名。


1.オーディエンス録音:

・サウンドボード音源よりはるかに音が良い。
・We're Gonna Grooveの間奏にテープの伸びあり。
・We're Gonna Grooveの出だしは少し音がこもっているが、間奏の途中からドラムがはっきりとして、以降は楽器のバランスが整う。
・White Summerの後半、1分20秒程度のカットあり。
・How Many More Timesメドレー部分のThe Hunter手前までの収録。



2.サウンドボード音源①(AMラジオ):

・We're Gonna Groove、I Can't Quit You、Dazed And Confused、White Summerの一部を収録
・音質は3音源中最低。これがクロード・ノブスによる録音だとしたら酷い。
・オーディエンス録音の欠落部(We're Gonna Grooveのテープの伸び、White Summer後半)を補填するのに用いられる。



3.サウンドボード音源②:

・クリアなサウンドボード音源で、AMラジオ音源よりは遥かに音質は良い。しかしそれでも奥行きや音のディテールにおいてオーディエンス録音には劣る。
・How Many More Times、Whole Lotta Loveを収録。オーディエンス録音は前者で途切れてしまうので、以降は全てこの音源を繋げています。






【演奏】

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セットリスト:

We're Gonna Groove
I Can't Quit You
Dazed And Confused
Heartbreaker
White Summer ~ Black Mountain Side
Since I've Been Loving You
Organ Solo ~ Thank You
What Is And What Should Never Be
Moby Dick
How Many More Times
Whole Lotta Love


パリにてツェッペリンと知りあい、モントルーでも撮影を行ったフォトグラファー、ジャイルス・シャトーとサム・ラパローによる共著、"Led Zeppelin: The Montreux Concerts"によると、スイスの湖畔に佇む静かな町モントルーを、今日知られるヨーロッパを代表するジャズやロックコンサートの開催地というポジションまで押し上げたのは、ノブスの活躍と彼に成功の確信を与えたツェッペリンによるところが大きいらしいです。ノブスは67年にモントルー・ジャズ・フェスティバルを立ち上げ、世界的ジャズ・フェスティバルの一つにまで発展させていますが、「ロックもイケる!」と思わせたのはツェッペリンや、後にかの地を訪れるディープ・パープルといったアーティスト達だったようです。

翌年、フランク・ザッパのコンサート中、火災に見舞われ焼失してしまうカジノですが、ツェッペリンがこのような2000人キャパクラスの会場でライブを行うのは以後ほとんどなくなります。オーディエンス録音の質も相まって、バンドと観客が近い、素晴らしい雰囲気の中での演奏。

ツェッペリンは前年の10月に発売されたセカンドアルバムがビートルズの「アビー・ロード」をチャートの1位から蹴落とし、「メロディメーカー」誌の人気グループ投票でもずっとトップの座に君臨し続けていたビートルズから1位を奪い、飛ぶ鳥をも落とす勢いに乗っていたところ。

そんな中、初のヨーロッパツアーに出かけたバンドの演奏はとにかく質が高いです。
ペイジのギターは流れるよう。プラントのハイトーンはギターにピタリと付いていく。
同年後半からコンサート中盤に組み込まれるアコースティックセットはまだ登場しておらず、全編を通してこのエネルギーを維持しているのは凄い。

ライブはアナウンサーの紹介(ノブス?)から軽く音出しを行って幕開け。
70年前半はBen E. King作、Groovinを元にしたWe're Gonna Grooveからライブを始めていた時期。公式DVDに収録されている同年1月9日のロイヤル・アルバート・ホール公演(以下RAH)を除くと、Pb/Mudslideのブート(1970年3月21日バンクーバー公演)とこのモントルー公演が同曲の演奏を高音質で聴ける数少ない音源になります。RAH公演から2カ月が経ち、以前と比べてより演奏はよりヘビーになった印象。中間部の間奏には日によって異なるファンキーなリフが加えられたり。


左から:Ben E. KingのGroovin、RAH公演(公式DVD収録)、Pb/Mudslide(Zep初のブートレグ)。

すぐさま続くI Can't Quit Youではいとも簡単に高音のスクリームを連発するプラント。
マイクが壊れてしまうのではと心配したくなるほど。後に実際に壊してしまうみたいですが。笑

Dazed And Confusedの演奏時間はまだ15分程度。演奏のテンポも良く、疾走感があって良い感じ。
プラントとペイジの間でもの凄いコール・アンド・レスポンスが繰り広げられます。
プラントがギターと同じ音程を出す様にはゾクゾク。
演奏のパワーはこの頃が最強。演奏後、マイクの不調をプラントが慣れないフランス語で伝えようとしています。

Heartbreakerには冒頭にジェフ・ベックのRice Puddingのリフが付け加えられています。
この日のペイジは珍しくリフにもオブリガードを入れたりとサービス精神旺盛。
Thank You、What Is And What Should Never Be、Whole Lotta Loveなど、セカンドアルバム「II」の曲は一際リアクションが大きい。

「レッド・ツェッペリン III」収録の曲として紹介されるSince I've Been Loving You。
RAH公演の記録には残念ながら映像も音声も残されませんでしたが、ここではサードアルバムに収録されるまでに曲が発展していく過程を垣間見ることができます。これもブートの醍醐味の一つかも。


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そして終盤のHow Many More Timesメドレーは圧巻。公式作品に収録される際にはメドレーで演奏した部分が権利の関係上、カットされることが多いのですが、そこは流石ブート、最初から最後までバッチリ収録。20分以上に渡って繰り広げられるロックンロールメドレーに酔いしれること間違いなし。70年のHMMTメドレーを完全収録している音源はこれしかないのでは?
こちらもプラントとペイジの掛け合いが凄い。メドレーにはクラプトンの愛してやまないフレディー・キングの代表曲Hideawayのリフが登場。リトル・リチャードのJenny Jennyを演奏しているのはこの時だけかも。

Led Zeppelin Databaseによるとロックンロールメドレーには、The Hunter, Boogie Chillun, Move On Down The Line, Hideaway, Bottle It Up And Go, They're Red Hot, Cumberland Gap, My Baby Left Me, Jenny Jenny, The Lemon Songを挿入。

プラントがBottle Up And GoでNワード(黒人を差別する用語)の歌詞を思いっきり歌っちゃているのも、時代ですかねー。今だったら絶対公共の場で口に出してはいけない言葉。それはさておき、メドレー自体は大盛り上がりで終了します。



アンコールはWhole Lotta Loveで会場は大盛り上がり。現在も始めの数小節分の演奏は収録されていないので、テープは途中からカットインします。中盤でペイジがテルミンを駆使するセクションでは、ジョンジ―がベースからオルガンに移動してサイケデリックな雰囲気に。後にHow Many More Timesからオールディーズメドレーの役割を引き継ぐことになりますが、この時点ではまだ何も挿入せずに終了。プラントの「メルシーボクゥ!」で幕を閉じます。


【まとめ】

ツェッペリン全盛期のライブは全て外れなしと言っても過言ではないですが、本公演はその中でもとっておきの内容。
演奏のクオリティの高さもさることながら、高音質なソースに恵まれた本公演はツェッペリンのファンなら一度は聴いておきたいところ。"Intimidator"は現在も再発売を続けているため手に入れるのは比較的容易ではありますが、Wendy盤は最新の音源を反映しているのでこちら推しです。とにかく大名演、大名盤。


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【参考文献】==================================================================================

【日】Led Zeppelin Bootleg Database Black Beauty: レッド・ツェッペリンのブートレグの音源を比較するにはここ。今回触れた音源のほとんどを聴けます。※2015年9月23日現在、管理人様のサーバーがダウンしているため繋がりません。復旧を心から応援しています。
http://starship.jpn.ph/zeppelin/beauty/

【英】Led Zeppelin Database: ツェッペリンのライブ音源に関する情報はこちら。音源を実際に聴くこと以外、ほとんどの情報はここに。
http://www.argenteumastrum.com/

【英】バンドの公式サイトより。モントルー公演のページ。当時のサウンドマンのインタビューが記載されています。
http://www.ledzeppelin.com/show/march-7-1970

【英】Underground Uprising: 各ブートレビュー。
http://uuweb.led-zeppelin.us/1970.html#07-Mar-70 Montreux

【英】BootLedZ: 各ブートの比較
http://bootledz.com/comparisons/6871.htm

【英】Collector's Music Reviews: Empress Valley盤Intimidatorのレビュー。
http://www.collectorsmusicreviews.com/empress-valley-label/led-zeppelin-intimidator-empress-valley-evsd-727374/







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初めまして。
zeppの最新ブートは無いかなぁと思いながら検索していたら、こちらに辿り着き拝見させて頂きました。
日本語でここまで詳細な内容が書かれているブログは正直初めてです。素晴らしいです。
お忙しいかと思いますがこれからもzeppネタで更新して頂けたら嬉しいです。


[2015/12/05 22:07] ひろ [ 編集 ]

Re: タイトルなし

ひろさん

はじめまして。TMです。
コメント有難うございます。
気に入っていただけたようでよかったです。
ペースは遅くとも今後も更新は続けていこうと思いますので、宜しくお願いします。
[2015/12/07 00:23] TM [ 編集 ]

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