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Levon & The Hawks/Port Dover 1964/1964年7月12日ポート・ドーヴァー 

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リヴォン・アンド・ザ・ホークスのレアなライブ音源。


ザ・バンドがホークスとしてボブ・ディランのバックにつき、一躍有名になったことは有名な話。しかしそれ以前、カナダを活躍の地に選んだアメリカ、アーカンソー州出身のシンガー、ロニー・ホーキンスのバンドとしてカナダ中を転々としていた頃のことはそれほど知られてはいないのではないでしょうか。

その後独立したグループとして、自分たちだけの力でやっていくことを望んでいたグループはロニー・ホーキンスと別れ、年長者のリヴォン・ヘルムをリーダーにリヴォン・アンド・ザ・ホークスとして活動。しかし望みをかけたニューヨークでの契約に失敗し、再びクラブなどドサ周りを続けていました。

リヴォンの伝記によると、カナダはオンタリオ州、エリー湖のほとりに位置するポート・ドーヴァーの「ポップ・アイヴィーズ」では毎週日曜の夜に250ドルのギャラで演奏していたとのこと。そんな当時の、若いメンバーたちの迸る熱気が伝わってくる演奏の録音が残されています。しかも音質には難ありですが、何とサウンドボード録音。

毎曲間だけでなく曲中のカットや音質の劣化が激しい音源で、お世辞にも音質が良いとは言えませんが、ロック史上重要な位置を占めるバンドの歴史的音源として、一聴の価値あり。


レイ・チャールズチャック・ベリージェイムズ・ブラウンなどのカバーにロニー・ホーキンス時代のレパートリーも加えた、ブルース、R&B、ロックンロール、ソウルなどを極めた演奏を聴かせてくれます。


写真 3
当時のホークス。左からブルース・ブルーノ(NYから帰る際脱退)、ジェリー・ペンファウンド、リック・ダンコ、リヴォン・ヘルム、リチャード・マニュエル、ガース・ハドソン、ロビー・ロバートソン。



メンバーは後のザ・バンドとなるメンバー5名に加え、ジェリー・ペンファウンドが参加。随所でサックスやフルートで存在感を放っています。

当時のバンドの演奏スタイルをリック・ダンコは、キャノンボール・アダレイに影響され、ジャズ風のサウンドになったことから、「キャノンボール期」と呼んでいたそうです。聞く限りジャズよりゴリゴリのR&Bという印象ですが。笑

その演奏力は一部の音楽関係者の間では評判となり、ひそかに目を付けていた者たちもいたようです。
そんな中、ロックへの転向を目指していたディランの耳にも届き、興味をもったディランが演奏を観に行った結果、一緒に演奏して欲しい、と要請することに。

直前までヨーロッパを周っていて帰国したブルースの巨人、サニー・ボーイ・ウィリアムソンを持ってして「あんたたち、ほんとうにうまいよ。どこでやってた?わたしは七十だが、いままでに聞いた最高のバンドの部類に入るよ」(リヴォンの伝記より)と言わせた演奏力。

64年、世の中はまだサイケデリアに染まることなく、ニューヨークの中産階級の若者の間で「フォーク・リバイバル」が起こっていた時代。ビートルズがアメリカ征服を目論んで上陸してきたところ。この時期これほどスピード感のある、ハードなR&Bをやっていたグループは他にいなかったそうで。

後の「ザ・バンド」としてのキャリアにおいてはどちらかというとライブに消極的だった彼らですが、それはメジャーデビューした時点までにもう充分過ぎるほどライブをやってきたからなんですね。


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ザ・ホークスとして活動するにあたって、リーダーだったロニー・ホーキンスが不在でも演奏を聴く価値はあると告知する必要があった。


■セットリスト

ロックンロールやR&B、敬愛するブルースのカバーで構成されたセットリスト。

ザ・バンドの後期には身体を壊して声を失ったリチャードですが、ここで聴ける歌声はピーク時の彼がどれほど優れた、またパワフルなボーカリストだったかを物語っています。正直、自分が初めてザ・バンドを聴いた時はリヴォンがリードボーカルだという印象でしたが、この音源を聴くと」ザ・バンドのリード・ボーカルはリチャードだとメンバーが認識しているのも余裕で納得がいきます。その他メンバー全員が若く、ザ・バンド時代とは異なるスタイルで歌っているのが凄く新鮮。

聴きどころとしては

世界最高のギター・プレイヤーと称されたロビーの刺すようなギターが強烈な Robbie's Blues
ビートルズをライバル視していたとのことですが、ライブでの演奏力に限って言えばジョージ・ハリソンなど目じゃない。

若い声のリチャードによる、ジェームズ・ブラウンのカバーPlease, Please, Please

リヴォンが腹の底から叫ぶWoman Love And A Woman
口笛にドラム、ボーカルと大忙しのShort Fat Fannyも本人が大好きだと公言している曲。

Chest Feverを彷彿とさせるガースのBlues Instrumental。ペンファウンドのサックスも印象的。

リックのボーカルも別人のよう。若い!Twist And Shout

後のザ・バンド解散後のアルバム「アイランド」に収録されたレイ・チャールズの「愛しのジョージア」Georgia On My Mind


このあたりでしょうか。


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QPro盤収録曲


■録音・音質

リヴォンの伝記にても紹介されている音源。
ザ・バンド公式サイトの情報によると、2トラック(または4トラック)のリール・テープに録音されていたサウンドボード音源のようです。ヒスノイズは大きく、カットが頻発し、不完全収録の曲が多いのが難点。

■ブート

QProなるレーベルから2000年にCD-Rでリリースされたみたいです。
プレス盤は存在しない模様。

気になるのはブートとして広まった音源の収録曲と、ザ・バンドの公式サイト掲載の情報で曲目に差異があること。
公式サイト側の情報だとShare Your Loveの後にIf You Leave Me、Memphis、Bring It On Homeの3曲が録音されているようです。MemphisはQPro盤と曲順が異なるだけですが、他の2曲は収録されていないもの。
リヴォン宅にはこの音源が保管されているそうですが(公式サイトの情報)、こちらは流出していないのかな?
情報持ってる方がいれば是非教えていただきたい・・・



■演奏

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音質は良くなくとも、ヒスノイズや音揺れの向こう側で鳴っている音楽は最高のロックンロール。
演奏力でいえば、当時のポップ・スターたちであるビートルズ、ストーンズ、ビーチ・ボーイズなどを圧倒するレベル。
60年代後半の、ブルース・ロックを主体としたバンドが出現する前、確実に5年先をいってますね。


Not Fade Away(Buddy Holly)
初っ端からかましてくるのはバディ・ホリーの名曲。同年カバーしたストーンズのバージョンと比べてもパワーが違う。


A Sweeter Girl Than You (has never been born)
リヴォンに「ジョンに捧ぐ」と紹介されて始まる曲。ここで自分は若いリチャードのボーカルのパワフルさにショックを受けました。1:48サックスソロ中にカット

Lucillel(Little Richard)
2:50過ぎでフェイドアウト。その後別の曲のアウトロらしきものが終了。
多くのアーティストがカバーした、リトル・リチャードの代表曲。

Peter Gunn(テレビ番組「ピーター・ガン」のテーマ)一度聞けば忘れないメロディー。スピードアップしたバージョン。歌なしのインスト。中間部のフルートはペンファウンド。

Money(Berry Gordy)
ビートルズ含め多くのアーティストがカバーした人気曲。作者はモータウンの創設者
1:37一瞬カットあり。曲終了間際もカット。

You Don't Know Me(Cindy Walker)
この日初めてのスローナンバー。しっとりとしたリチャードのボーカルが心地よい。
カントリー歌手、Cindy Walkerのカバーですが、リチャードが歌うことで完全にソウルになってます。

Bo Diddley(Bo Diddley)
通称ボ・ディドリー・ビートと呼ばれるシャッフル。ここから数曲はロニー・ホーキンス時代から演奏している曲。
時代を感じさせるバックコーラス付き。

Forty Days(Ronnie Hawkins)
ロニー・ホーキンス時代の代表曲。

Hoochey John Blues
リヴォンが「チャッキーとラウルに捧げる」と言って始まる、フーチー・クーチー・ショーと旅してた頃の曲
ガースとジェリーの二人がテナー・サックスだと紹介した後、
「リックが幾つかネタを仕込んでるよ。奴は女装もするんだ」とからかうリヴォン。客からはヒューヒューッと口笛が。
そこにサックスを持ったジェリー(またはガース)が雰囲気抜群のメロディーで応えるやりとりが面白い。
くだけた雰囲気で始まったのは、カップルを躍らせるためのようなスローでネットリとした曲。サックス、ギターにも活躍の場あり。ロビーの強烈なギターが前面に出てきます。

曲が終わってリヴォンがアナウンス。
「たくさんとうもろこしが残ってます。しかもタダ!それとドン・アイヴィーが一杯奢ってくれるそうです。」
お客さんは大喜び。
一旦カットが入ってからリヴォンのマイクがオフ気味になってしまいますが、次の曲もインストなので問題なし。

Robbie's Blues
スローテンポでギター、ピアノ、オルガンが絡んで奏でるブルース。サックスの出番もあり。
いくつもの展開がある上、各楽器の音が良く聴こえるのでじっくり味わえる。


Kansas City(Leiber and Stoller)
リチャードが歌い、ロビーが管楽器隊と共にギターで支えるシャッフル・ビート。
途中からサウンドにやたらリヴァーブがかかります。

Memphis Tenessee(Chuck Berry)
この曲とKansas Cityはビートルズもよくやっていた曲。
テープの劣化が激しく、音が消えてしまいそうな箇所が散見される。

「少し時間をいただけますか・・・」といったところでテープが途切れ、曲が始まる
Please, Please, Please(James Brown, Johnny Terry)
再びリチャードが歌う、最高に上手いジェイムズ・ブラウンの真似とリヴォンが評価するパフォーマンス。
かなり強烈なシャウト。ここで音質が復活します。


リヴォンの口笛から始まるShort Fat Fanny(Larry Williams)
大のお気に入りで、後年何度も演奏している
ガースのオルガンが縦横無尽に駆け回る
トゥッティ・フルッティ、ブルーベリー・ヒル、ブルー・スウェード・シューズ、ロング・トール・サリーなど、他の代表的なロックンロールの曲の名前が随所に飛び出てくる

You Can't Sit Down(Philip Upchrch Combo)
サックスとオルガン(ジェリーとガース)の二人が引っ張って突き進むインスト。
ギターとベースのブレイクあり

No Particular Place To Go(Chuck Berry)
リヴォンのボーカル、ロビーのギターが素晴らしい。これぞロックンロール

Turn On Your Love Light(Bobby Bland)
リチャードのソウルフルボイスにサックスとオルガンがフィーチャーされるオールディーズ。
良いじゃないか。

High Heel Sneakers(不明)(Tommy Tucker)
これまたスタンダード。ロックンロール名曲のオンパレード
リチャードが楽しそうにピアノを弾いているのが目に浮かぶ。

Women Love And A Man
「ルーシーの唇はとてもジューシー」「そうだろ?」「そうとも!」バックコーラスとの掛け合いが楽しい
それぞれの楽器を紹介するリヴォン。


Chest Feverのようにガースのアドリブから始まるBlues Instrumental
そこからサックスとオルガンの掛け合いが始まり、オルガンソロでクールでジャジーな雰囲気に。
そこにロビーの歪んだギターが入ってくるカッコよさ。
ガース大暴れ。

間髪いれずにSlow Bluesに突入。
こちらはロビーが曲をキックオフする、その名の通りスローで味わい深いブルース。
途中でテープが切れてしまい、再開するときには曲が終わってしまい、リヴォンが「ギターのロビー・ロバートソン!」とアナウンスするところから次の曲がスタート。

Do The Honky Tonk(不明)
リチャードのボーカルスタイルにはホーンが似合う。
管楽器隊をバックにマイク一本で立っている姿が容易に想像できますが、これをピアノを弾きながらやっているのだから凄い。

Twist And Shout(Medley, Russell)
リックのボーカル。The Weightなどで聴いているリックのボーカルスタイルからは想像できない見事なシャウトっぷり。
こんな歌い方も出来るんだ、と改めてメンバーの才能の豊かさに脱帽。
ビートルズがファースト・アルバムに収録した永遠不滅となった名曲ですが、個人的にそちらに全く引けを取らない出来かと。


Georgia On My Mind(Carmichael, Gorrell)
レイ・チャールズが世に知らしめた名曲。前曲と一転して、リチャードのしっとりとした、それはもう泣きたくなるような、優しくなでるようなボーカル。これでコンサートを閉められたら文句の言いようがない。


Women Love And A Man
「ここいらでピアノ!オルガンも行ってみよう!ギターーー!」ギターは聴こえないが。
ノリノリの演奏ですが、残念ながら途中でカット。最後の曲と2曲連続でブツ切れで終わってしまうのが何とも惜しい。

Share Your Love(Braggs, Malone)
ワトキンズ・グレン、ニュージャージーなど73年のライブでも演奏したこれまたソウルフルな名曲。
残念ながら僅か30秒でカット。

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■まとめ


若きザ・バンドのメンバーが最も精力的にライブ活動をしていた時期の音源で、彼らの音楽的ルーツを知る上でも重要な内容。

リヴォンの伝記にはリチャードがこの頃、「二流でいるのはもういやだ。この下っぱばかりの世界をぬけだして、上に昇りたいよ」と不満を漏らしていたことが書かれています。しかしその時既にツキは変わろうとしていて、この1年後、ディランのバックバンドに起用されてから、その後僅か数年間で彼らの生活は目まぐるしく変化していきました。それはビッグ・アーティストとしての創作活動の苦しみや停滞を伴うもので、それに一番狂わされてしまったのはリチャードなのかも。

ディランと組んで世界ツアーに挑み、「フォーク・ロック」と呼ばれた66年、そしてもうすぐオフィシャル発売される、バイク事故を起こし療養を兼ねて世間から姿を隠していた時期のディランとの共同作業を記録した「ベースメント・テープス」、そして鮮烈なデビュー・アルバム「ビッグ・ピンク」までの流れを改めて振り返ってみるのも面白いかもしれません。


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64年頃のカナダ、トロント。ホークスがよく演奏していたフライアーズ・タバーン。




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【参考文献】

■ザ・バンド公式サイトより。60年代の音源一覧ページ。取り上げた音源のデータも記載。日付は7月12日のようです。
他にもこんなに音源があったのか、と感心してしまいます。
http://theband.hiof.no/tape_archive/band_tapes_60s.html

■「ザ・バンド 軌跡」
リヴォン・ヘルム著、ステファン・デイヴィス補筆、菅野彰子訳
音楽之友社、1994年8月10日第一刷発行
リヴォンの伝記。この音源についても書かれています。名著。




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