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The Band/Across The Great New Jersey/1973年7月31日&8月1日ニュージャージー公演 

across the great new jersey front

1973年7月31日と8月1日のニュージャージー州、ルーズベルト・スタジアム公演をサウンドボードで収録したブート。
ザ・バンドのキャリア上最も長かった空白期間における単発のライブ。めずらしくジャムをやったり、同時期レコーディング中だったカバー・アルバム「ムーンドッグ・マチネー」の曲を取り入れたセットリストが特徴の公演。リチャード・マニュエルの喉が荒れ始める前の最後の時期。


頂点を極めて


1973年はザ・バンドの活動における停滞期だったようです。
「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」、「ザ・バンド」、「ステージ・フライト」、「カフーツ」と4作のスタジオアルバムを発表してきたザ・バンド。1971年9月に「カフーツ」が発売されてから行われたツアーの締めくくりとして、ニューヨークのアカデミー・オブ・ミュージックで大晦日にかけての3日間のコンサートが録音され、ライブ盤「ロック・オブ・エイジス」として形になったところで、ザ・バンドは一度長期に及ぶ休暇を録ることになります。著書にて、ツアーに出発する前にロビーが発した言葉をリヴォンは回想しています。


ロビー「ひとつの時代が終わった、そうじゃないか?」


「ロック・オブ・エイジス」を録音し、ある頂点を極めたザ・バンド。
1972年の秋に発売され、6か月間ビルボードにチャートインし続けた上に、「ローリング・ストーン」の年間最優秀アルバムに選ばれ、おまけにシングル「ドント・ドゥ・イット」はトップ40入り。

通常ならプロモーション用ツアーを組むところですが、ライブ盤と同じ設定でコンサートをやるのは無駄だということで、グループがツアーに出ることはありませんでした。



《ロック・オブ・エイジズ》がとても気に入っていた。ザ・バンドのすべてがそこに凝縮されていたからだ。ぼくはその前の《カフーツ》のツアーに同行したことがあり、彼らにもう一度ツアーをしてほしいと思っていた。ザ・バンドとやっとことのある連中はみんなそう思っていた。しかしツアーはなかった。それをロビーにいったことがある。ロビーは『ツアーには行きたくない。リヴォンとじっくり話しあったんだが、ヘロインが詰まったスーツケースを持ってつかまりたくはないからね。それにリチャードは行きたくたって、ツアーに行けるような状態じゃない』といった―――ジョン・サイモン(プロデューサー)





1973年夏のジャム・フェスティバル(ワトキンズ・グレン~ルーズベルト・スタジアム)

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ザ・バンドが再び集まって人々の前に姿を現すまで、実に1年半以上の月日が流れます。
1973年7月28日より行われた「サマー・ジャム・アット・ワトキンズ・グレン」。ニューヨーク州にある巨大なレース場で開催されたコンサートには60万人もの人が集まり(ウッドストックは40万)、ザ・バンドはグレイトフル・デッド、オールマン・ブラザーズ・バンドと共演しました。公式でも「Live At Watkins Glen」というアルバムが出ていますが、僅か10曲と言う収録曲の少なさに加え、その中で実際にコンサートで演奏された曲はガースのオルガン・ソロ「Too Wet To Work」とそのまんま「Jam」の2曲だけという(残りはスタジオ音源へ歓声を被せたもの)酷いもの。ザ・バンド側は全く制作に関わっていません。実際のその日の演奏は良いものだったようです(それもまたいつか)。※追記:beatlegでは「ルーズ」「荒い」などマイナス評価が目立ちますが、海外の掲示板では好意的に評価する動きもあるようです。リヴォンも自伝にて好意的に振り返っています。


ワトキンズ・グレンから数日後、7月31日と8月1日の2日間、ザ・バンドは再びデッドと共にお隣ニュージャージー州、ルーズベルト・スタジアムにてコンサートを行います。これがこの年行われたザ・バンドによる最後のライブ。両公演サウンドボード音源が存在します。



一般的に2日目の演奏はザ・バンドとしてはめずらしくジャムを行ったり(デッドに触発された?)、曲の間奏が長かったりと、ワトキンズ・グレンと並んでザ・バンド最高の演奏の一つと評価されいるようです。※追記:(荒っぽさはあるので最高とはいえないか)
それに対して初日の演奏はザ・バンド史上最低の演奏の一つ。ワトキンズ・グレンのように良い感じのルーズさを取り入れたかったのでしょうが、長尺の演奏にまとまりがなく、タイミングをミスったり歌詞を忘れたりと、普段のザ・バンドのプロフェッショナリズムからは想像もつかないような酷い出来。それが逆に面白かったりするんですが。笑


この時のセットリストは特徴的で、この年の後半に発売される「ムーンドッグ・マチネー」(カバー・アルバム)用にレコーディングされる曲がいくつか取り上げられています。


Share Your Love With Me  (ボビー・”ブルー”・ブランド、アレサ・フランクリン)
Saved  (エルビス・プレスリー)※31日のみ演奏
Back To Memphis  (チャック・ベリー) ムーンドッグ・マチネーのアウトテイク
Endless Highway (オリジナル) ムーンドッグ・マチネーとカフーツの2000年リマスターにボーナストラックとして収録


それまでやってきたカバー曲Loving You Is Sweeter Than Ever (フォー・トップス)、Slippin' & Slidin'(リトル・リチャード)と合わせると他の時期よりかなり多くカバーをやっています(厳密にいえばI Shall Be ReleasedDon't Do Itもカバーですし)。








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ブートレグ



今回紹介するのはレーベル名なしのAcross The Great New Jerseyという4枚組のもの。西新宿BLIND FAITHで取り扱っていたのでEmpress/Mid Valley系でしょうか。割とちゃちい作りなのでダウンロード音源かなー、とか思ってしまいます。


ルーズベルト公演を収録したブートレグは他にもありますが、両公演ともに収録したプレス盤は少ない模様。


最初の2枚には7月31日、後半2枚には8月1日公演を共にサウンドボード音源で収録。
この盤の特徴として、ディスク2の最後に31日のオーディエンス録音と思われるトラックが3曲(Back To Memphis、Loving You、Slippin' and Slidin')、ボーナス扱いで収録されています。※追記:こちらはbeatlegにはワトキンズ・グレンの演奏とありますが、ロビーのギターソロの一致から31日の演奏だと思われます。
理由としては31日のテープは冒頭2曲にカットが多く、不完全な形でしか聴けないため、その2曲を追加したのではないかと思います。どうせならサウンドボード音源と繋げてくれよと思ってしまいますが。


他のレーベルのように未収録の曲はないので、プレス盤としては後述のスコルピオ盤と共にベストでしょうか。


across the great new jersey back
ディスク2最後の3曲は31日のオーディエンス音源



band-roosevelt.jpg
7月31日を収録したOil Well盤。不完全収録。


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同じく7月31日を収録したOh Boy盤。Oil Well盤とは収録曲が異なります。


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8月1日を収録したDeep Six盤。ボーナストラックとして前日の公演よりSavedを収録。不完全収録。


BandAcrossTheEndlessHighway1973_cov.jpgband-1973-08-01-back.jpg
同じく8月1日を収録したPolar Bear盤。恐らくDeep Six盤のコピー。ジャケは当日か31日に撮られたと思われる写真を使用しているので個人的にはポイント高い。しかし結局不完全収録。


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Scorpioより2013年に出たもの。今回紹介するブートのコピーと思われますが、3枚のディスクに収まるよう調整されている上(収録曲は全く同じとみられる)、3面見開き紙ジャケット仕様で見ための宜しいブート。ただし値段は高い。








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roosevelt stadium preview





7月31日セットリスト


Back To Memphis(最低3回のカット、随所にレコーディングレベルの調整あり。曲途中で終了して次のLoving Youへ)
Loving You [(Is Sweeter Than Ever)カットイン]
The Shape I'm In
The Weight
Stage Fright
I Shall Be Released
Don't Do It
Endless Highway
The Night They Drove Old Dixie Down
Across the great divide
This wheel's on fire
Saved
Life is a carnival(3:20辺りに僅かな欠落あり)
Share your love with me
Up on cripple creek
The genetic method
Chest fever
The W.S. Walcott medicine show
Slippin' & Slidin'(オーディエンス録音)






音質

テープのチリチリとしたノイズが全編を通して軽くなったり酷くなったりして聞こえるものの、各楽器間のバランスは良く、次の日の音源のようにミックスが毎曲途中に変わったりしないため、安定した音で楽します。歓声も僅かながら聞こえるので、多少のライブ感はあり。


演奏



ザ・バンド史上最低の演奏との評価が多いこの日の演奏。実際そこまで酷いのか?と思い聞いてみましたが、第一印象としては、確かに覇気がない。次の日の演奏と比べるとのたっとしたテンポが目立ちます。

曲でのインプロビゼーションが多く、それが上手くいった時はしっかりした演奏になるのですが、いかんせん上手くいかないことの方が多い。笑

いつも全力投球、という感じのリヴォンでさえ、必死にバンドに喝を入れようと頑張るも、力及ばずという印象。

こういう時、ガースの存在の大きさを改めて認識させられます。常に安定の演奏でバンドの崩壊を防いでいる感じ。

リードボーカリストのリチャード・マニュエルの喉は荒れ気味。歌詞を間違えたり、タイミングを外したり、この日最も調子が悪いのは彼でしょうか。





1曲目Back To Memphisはチャック・ベリーのカバー。アメリカ南部育ちのリヴォンの声がピッタリで、ラフでも問題がないタイプの曲だと思います。まだ緊張感は保たれている模様。



Loving Youも悪くないのですが、最後のサビでリヴォンとリックの間に掛け合いミスが発生。ここら辺から雲行きが怪しくなってきます。



長いチューニングからThe Shape I'm Inへ。リチャードが言い訳のように「時間はかかるんだよ!」と言ってのスタート。ここで調子の悪さが露呈します。リチャードが間奏からボーカルが戻るタイミングを間違え、間奏をやり直す羽目に。


「Well I've just spent sixty days in jail house~また捕まっちまうのか~?ウォ~オ~」


挙句の果てに「You know they feel, they're trying to FUCK us」と言葉遣いまで崩壊する始末。笑






スローなI Shall Be Releasedで少し立て直しますが、完全にとはいかず。




この日の注目すべきポイントはエルビス・プレスリーのカバー、Saved。

この曲は先述のワトキンズ・グレンとこの日しか演奏されていません。ゴキゲンなリズムでこの日のセットの中では良い部類の演奏に入ると思います。



Dixieは曲の入りからタイミングミス。 リヴォンが「ちょっと待て」とやり直そうとしますが、そのまま続けてしまいます。笑

コーラスもショボく、いつもはしっかりしたリヴォンの声にも力がありません。



Chest Feverでも間奏でジャムなのか、リフに戻るのかハッキリせず戻るタイミングを見失ってます。



W.S. Walcott's Medicine Showではガースのサックスソロでマイクのミキシングが悪いのか、リヴォンが「サックス!」と叫ぶも音がほとんど聞こえず、次に「ギター!!」と叫んでギターで繋ぐシーンが見られます。
そして漸くサックスが入り、再びギターに繋いで終了。


アンコールは元気よくSlippin' & Slidin'。何とかハイテンションで終わります。流石にWalcott'sの演奏で終わっちゃバツが悪かったのでしょう。



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roosevelt_08_01_73_mr_bassman.jpg





8月1日セットリスト


Back To Memphis
Loving You (Is Sweeter Than Ever)
The Shape I'm In
The Weight(カットイン)
Stage Fright
I Shall Be Released
Don't Do It
Endless Highway
The Night They Drove Old Dixie Down
Across The Great Divide
Jersey Jam
This Wheel's On Fire
Life Is A Carnival
Share Your Love
Up On Cripple Creek
The Genetic Method
Chest Fever
The W.S. Walcott Medicine Show




音質

楽器がはっきり分離して聞こえ、特にベースの音量が大きく、演奏が迫ってくる印象。ただし少しミックスが不安定で、曲中によく楽器間のバランスが変わってしまうのが難点。ピアノが埋もれ気味なのもたまにキズ。

観客はほとんど聞こえないため、少し臨場感に欠けますが、それを補って余りある熱い演奏。



演奏


前日の酷い出来とは打って変わってのっけから勢いが違います。
全体的に間奏では長めに演奏するんですが、前日と違って上手くキマるんです。



Back To Memphisはコンサートの幕開けにピッタリのロックンロールナンバー。ロビーもガースも弾きまくっててインプロ好きにはたまりません。


Loving Youは前日よりコンパクトにまとまった演奏。展開も異なり、歌詞が一回し少ないため、1分以上短い演奏になっていますが、完成度はこちらの方が高いと思います。最後に前日はあったガースのソロがなく、ロビーのギターによるアウトロで終了。


前日酷くやらかしたThe Shape I'm In。今回はシャキッと決めています。FUCKなんて言っちゃいけませんね。笑





カットインで始まるThe Weightはリック・ダンコが懸命に歌い、あまり変化のない(そこが良いんですが)曲にフレッシュさを吹き込んでいます。



Don't Do Itはリヴォンのドラムスポットで全員が音を出していますが、これは個人的には要らないかなー。締まりがない印象。


Jersey Jamとタイトルが付いたトラックはロビーのリフに他のメンバーが乗っかっていく3分程度の演奏。






Share Your Loveはリチャードの歌に魂が込もっていて、聴かせる演奏。



ガースのオルガンソロ、Chest Feverでもギターで絡んでみたり、ドラムを入れてみたりと新たな試みが多く、このまま発展させていったら将来もっと面白くなったのになー、と思わせる内容。

そして全員が最後一体となってアドリブを利かすChest Feverは6分半に及ぶ長尺演奏。ガース先生によるファンキーソロ講座。


W.S. Walcott Medicine Showもガースのサックスソロ→ロビーのギターソロの本来の形で終了。前日の出来を払拭する気合の入った演奏でした。


levon-with-the-band-watkins-glen.jpg

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考察


1973年はたった3回のコンサートにしか出演しなかったザ・バンドですが、次の年に「ロック・オブ・エイジズ」以来となるボブ・ディランとの共演を果たします。それもボブ・ディラン&ザ・バンドとしての巨大ツアーという形で。ライブの模様は公式ライブ盤「偉大なる復活」Before The Floodで聴けるのはご存じの通り。


更にその夏もツアーに出たようで、クロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤング(CSN&Y)の前座でコンサートに出演した音源が幾つか残されています。合同で回っていたのでしょうか。


しかしその頃になると毎日酒を飲んでは車を暴走させ、極限を生きていたリチャード・マニュエルの声が明らかに荒れてきており、なるほど他のメンバーが「ツアーに出れる状態じゃない」というのもうなずけます。


ザ・バンドのキャリア上、後期への転換点ともいえる空白の年に行われたライブですが、後にも先にもこれほど砕けた演奏をしたのはこの時だけ。リチャードも1973年までの時点ではまだ元気に歌っており、ボーカリストとしての力量を充分に発揮していたと思われます。ライブにおいて全員が最高の調子を出せる最後の年だったのかもしれません。




参考文献

ザ・バンド公式ウェブサイト
ルーズベルト公演のブート紹介ページ。公式サイトながらブートレグの情報満載。

http://www.shnflac.net/details.php?id=27360f07034f1cd177842274f5e630b498fa6551
トレントサイトより。テープについてアップロードした人によるコメント。">トレントサイトより。テープについてアップロードした人によるコメント。

「ザ・バンド 軌跡」
リヴォン・ヘルム著、ステファン・デイヴィス補筆、菅野彰子訳
音楽之友社、1994年8月10日第一刷発行



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